公開確認会 - 2010 -
11月29日、パルシステム群馬の公開確認会を開催 ! |
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参加者約150名で、産地の状況、課題を共有する取り組み 去る11月29日、パルシステム群馬主催の「野菜くらぶ公開確認会」が、組合員さん、生産者さん約150名の参加を得て開催されました。「公開確認会」とは、生産者が生産・流通の情報を公開し消費者とともに確認するという、パルシステム独自の監査システム。生産者と消費者が農業や産地の現状、課題を共有するためのもので、野菜くらぶでは7年前に続いて2回目です。 バス2台、約70名のお客さまをお迎えして、午前10時すぎに開会。パルシステム群馬理事長の田中三千夏さんからは「『朝穫れレタス』は野菜くらぶさんとの協力で実現しました。今日が農業を支える1日となることを願っています」、そしてパルシステム連合会食料農業政策室長の高橋宏通さんからは「安さだけで生産物をみると環境、生物、里山、地域、文化、全部を失ってしまう。価格では比べられない野菜の価値をつかみとっていただきたい」というご挨拶。また昭和村の加藤秀光村長からも、レタスが約1000円というロシアの話を交え「昭和村の農業を強くするため、すばらしい確認会にしてください」とのご挨拶をいただきました。 この日の監査人は8名。パルシステム群馬組合員の櫻井はるかさん、斉藤亜紀子さん、海老原みちるさん、江原久仁子さんは、あらかじめ講習を受けて監査人となりました。さらにパルシステム生産者消費者協議会消費者幹事の吉田澄子さん、同じく生産者幹事の矢内克志さん、JAS登録認証機関である(有)リーファースの水野葉子代表、パルシステム連合会の高橋宏通さんを加え、アドバイザーとして千葉大学大学院の斎藤修教授をお迎えしました。
ほうれん草ほ場と、こんにゃく工場、漬物工場を視察 まずは3班に分かれ、ほ場(畑)と施設の視察です。監査人はほうれん草ほ場から。ほぼ快晴で風も弱く、雪をかぶった山並みを背に、栽培基準(諸田)と、保温&虫除けのためにカバーを使う栽培方法(白石)などについて説明を受けました。勧められて畑のほうれん草を口に運んだ監査人は、「えぐみがなくて、甘い!」と驚いていました。 次に訪れたこんにゃく工場では、君田工場長からこんにゃくは3年間も植え替えをくり返すこと、有機で栽培し有機こんにゃくとして製品化していることをご説明。漬物工場では原工場長の「たくさんとれる野菜をムダにしたくない。有機や減農薬で作った野菜を添加物で漬けるのは意味がないと、添加物なしの漬物を作りました」という話に、監査人さんたちは大きくうなずいていました。 そして午後。ステージ上にはコンテナボックスに座った林美之さん、竹内功二さん、竹之内信一さんの姿が。農業の将来に不安、疑問を持ちながらも、親や先祖が残してくれた大地とありあまる情熱を持った若者たちの、16年前の姿です。口火を切ったのは林さん。「野菜の価格も生活も安定しないまま農業を続けていたとき、澤浦君から『契約栽培なんだけどやってみないか』と話を持ちかけられたんです」。「『サラダクラブ』という雑誌から社名を思いつきました」と竹内さん。竹之内さんからはFAXで出荷管理をしていたことなど、野菜くらぶ草創期の様子が語られました。
傷んでもおいしい野菜-「こういう野菜をお届けするのも仕事です」(GPS) そして野菜くらぶのプレゼンテーションです。内容は会社概要(毛利)に始まり、経営理念(澤浦)、通年出荷体制、独立支援プログラム(竹之内光昭)、QPMSマニュアル(宮下)、(株)サングレイスの取り組み(杉山)、グリンリーフ(株)の取り組み(原)、事業本部の取り組み(小林)、顧客支援プログラム(宮田)。小林さんからはヒョウで傷んだほうれん草を、青森で独立した山田さんからは強風で砂まみれになったレタスを、「こういう野菜をお届けするのもわたしたちの仕事です」と組合員さんに届けてくれたジーピーエスさん(パルシステムの青果会社)のお話を紹介。最後に小田和正さんの「たしかなこと」という曲をバックに、創立当時の写真や生産者たちのスライドショーが流れると、会場は感動に包まれ、ハンカチで目頭を押さえる人たちも。 続くパルシステム群馬さんからのプレゼンテーションでは、野菜くらぶとのさまざまな交流や独自企画などについて報告されました。またこの夏の、収穫当日に組合員さんにお届けするという『朝穫れレタス』の取り組みは、パルシステム群馬さんとの協働なくしては実現できなかったこと。早朝3時収穫、6時集荷という大変な仕事を受けていただいた職員さんたちの代表として、センター長さんに当社より感謝状を贈らせていただきました。 いよいよ監査所見の発表です。監査人さんは事前監査を行い、発表ギリギリまでほ場台帳や生産者名簿、栽培管理記録帳、出荷・販売実績などを確認していただきました。組合員の監査人さんからは「QPMSマニュアル、役割分担ができており、栽培方法、出荷基準、トレースも確認できた」(江原さん)、「各自責任を持って作業していることが、栽培記録、内部監査などから確認できた」(櫻井さん)、「BT剤など自然界の微生物を使った農薬があることを知った。より安心して利用できる」(斉藤さん)、「内部監査で出荷物のトレースや農薬の残留検査も行い、とても信用できる仕事をしている」(海老原さん)などの所見をいただきました。
「システムがよくできている」「赤城高原の環境改善に貢献している」 組合員以外の監査人さんからも、「顧客支援プログラムというものがあることを知り、さらにさまざまな交流ができると思った」(吉田さん)、「『朝穫れレタス』の説明での『早く出荷することの精神的負担』という言葉に胸がつまった。そのありがたさを伝えたい。チームワークと、パルシステム群馬との関係がとてもよい。ハンカチを持ってきてよかった」(水野さん)、「QPMS、内部監査マニュアルなど品質向上に努力しており、TPPが実施されても残る農業としてのモデルになるのではないか」(矢内さん)、などの評価をいただきました。 さらにアドバイザーの斎藤教授からは、「本格的な産地の経営者が生まれた。システムをうまく作っており、ほ場から食卓までのシステムはできたと思う。農、食、環境の3つを進化させてほしい」というお言葉が。パルシステムの高橋さんは、「各担当者が自覚を持って発表していた。一般にこんにゃくは土壌くん蒸剤を使うが、日本一のこんにゃく産地でそれを使わず、有機で栽培、製品化しているのは赤城高原の環境改善に貢献していることになる。生産者の努力や国産の価値を見直していただきたい」とまとめていただきました。 最後に、パルシステム群馬中嶋常幸専務からの「食の最前線でがんばっている生産者に感謝の気持ちでいっぱい。自然環境と経済の循環。生産者、消費者がこの2つのシステムの中でバランスをとっていくことが大切と感じた」というお言葉をいただき、この日の公開確認会は終了。「午後はやばかったです。涙をこらえるのに必死で」「あのスライドでノックアウトだったわ~」など、多くの参加者が目を赤くされて帰路につかれました。野菜くらぶの生産者、社員も皆さまと分かち合った感動を忘れず、これからも力を合わせて安全でおいしい野菜をお届けできるよう、日々努力を続けてまいります。遠いところおいでいただき、ありがとうございました。
●公開確認会の様子は、パルシステムのホームページにも掲載されています。 http://sanchoku.pal-system.co.jp/kouryu/confirm/201012a-02.html |